商品とか作品とか

先週末の事です、前職の師匠が来訪されました。
許可をいただいていないのでお名前は伏せますが、日本屈指のギタービルダーです。
颯爽と現れ、風のように去っていきました。相変わらず、せっかち且つ気配りの人です。

工房内をぐるっと見て回り雑談をした程度だったのですが、ふと足を止めお褒めの言葉をいただいたのが↓の画像の部分。
ギターのネックグリップとヘッドやヒールをつなぐ部分。私は手作業で削り出しますが、CNCルーター等で削る場合でも作業者の好みや拘りが如実に現れる部分です。

実は褒めてもらえるかもと、見えやすいところに置いておいたのです。
なにせ、師匠の技のコピーですから(笑)

師匠は覚えてないかもしれませんが、20年近く前に師匠からこの工程の仕事を分けていただき、認めてもらいたくて少しでも近づきたくて夜中まで作業したものです。
スムーズに、ふっくらと、且つグリップは極限まで直線的に。直線と曲線の境い目は判別がつかないところまでしっかり丸め込む。
演奏者の手が触れる大切な部分です。演奏中に違和感を感じないように、しかも美しく。

褒めてもらえて嬉しかったと思い返しながら考えたこと…
師匠は楽器を弾かない方ですが、70歳を越えて尚、演奏者や納品先の声に耳を傾け、試行錯誤しています。現在はネックの強度と音色の関係性を明らかにする研究に余念がないようです。
製作する物は常に変化し、進化/深化しています。全ては演奏者の為に、音楽の為に。

常々思っていることですが、小売や卸売の世界なおいての「商材」「商品」、職人の世界における「作品」「製作物」という概念…
どうも違和感がある。経営者としてではなく、人として。何かが違う。

師匠が積み上げてきた歴史や、過去に自分が携わってきた楽器を見て思う訳です。

「これは心だな」と。

気付いてしまうと本当に全てそれで納得できてしまう。並んでいる自分が作った楽器達を見れば、その時々の自分の「心」がそのままあらわれているのです。驚くほど、明確に。

「持った人の心が満たされますように」
そんな気持ちをカタチにしていきたい。
そう思って続けて来たことを全うしたい。
だから創業したのだと、あらためて思いました。
「心でつくる」がスズカギターデザインの基本コンセプトです!
これを忘れずに精進致します。


SuzukaGuitarDesign

人生に寄り添うギター作り

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